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キルギス共和国でのフルーツ農業ビジネスの可能性
February 19, 2024

フルーツ農業は、家庭用、工業用、商業用に栽培される果実作物を中心に据えた農業であり、主にベリー類やナッツ類が含まれる果実農業である。

FAO(国連食糧機関)によると、果実は世界の植物性食品の質量の約11%を占める。

2018年の果物・果実の世界総生産量は年間4億トンを超えた(表1)。キルギスでは果物・果実の約45%を自給している。食料安全保障と競争力を確保するためには、15の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、環境を保全しながら果実・ナッツ・ベリー類の生産を増やす必要がある。

表 1:  果物・果実の世界生産量(FAO統計 2018年)

合計生産量
単位:100万トン
世界生産量404 400
1中国41 134
2インド39 124
3ブラジル33 376
4米国28 988
5イタリア17 374
6スペイン11 626
7メキシコ11 625
8フランス11 215
9トルコ9 698
10イラン9 653
キルギス260

 

キルギス共和国におけるフルーツ農業の現状

 キルギスは、良好な土壌と気候条件、一定の有機性、カザフスタンやロシアといった近隣諸国からの旺盛な需要、中国、アラブ諸国、EUといった新たな潜在市場により、フルーツ農業の発展にとって非常に大きな可能性を秘めている。

キルギス共和国では、果実栽培が農業生産全体の4.4%、農作物生産の8.1%を占めている。

 国家統計局の公式データ(NSC 2022 Sady.kg )によると、キルギス共和国では2022年現在、年間270トン以上の果物・果実が生産されており、過去10年間で果物・果実の生産量は20%増加している。また、地域別データによると、フルーツとベリーはキルギス共和国の全地域で栽培されているが、イシク・クル地域がトップで、バトケン地域とオシュ地域がそれに続く。

キルギスからの生鮮果実の輸出

 上述の通り、キルギスから輸出される果物の生産量は年々増加しているものの、量は限られている。リンゴ、アンズ、さくらんぼが主な輸出果物である(表2)。主な輸出市場はロシア連邦で、輸出品の90~95%を占めているが、独立国家共同体の他の国々、そしてEU諸国、トルコ、アラブ首長国連邦にも輸出している。

表2:キルギスからの生鮮果実の輸出量と輸出額

種類201920202021延び率
千トン100万ドル千トン100万ドル千トン100万ドル%%
リンゴ11,1 6,915,9414,93,45134,250
0,70,32,80,42,80,9400300
アンズ6,12,910,41,64,81,678,755,2
さくらんぼ1,92,80,414,91,5257,953,6
プラム2,30,820,33,90,2169,625
いちご0,50,30,70,20,90,3180100
すいか0,90,17,60,412,111344,4100

(出典: ユーラシア経済委員会, 2022)

 

さらに発展させるには ―果物農業は経済成長を加速させ、雇用を創出できる

 キルギス共和国における果物の輸出量の増加は、経済成長を加速し、地方の雇用と所得水準を向上させる可能性がる。これにより、小規模農家も価値連鎖に参加できるようになるだろう。

 例えば、中国市場は、キルギスの輸出業者にとって、供給地域を多様化する絶好の機会をもたらすといえるだろう。2030年までに、さくらんぼ、ぶどう、プラム、アンズに対する中国の輸入需要は18億ドルに増加すると予想されている。

 また、中国市場への参入は、キルギスの輸出業者が製品により高い価格を得ることを可能にする。例えば、さくらんぼを中国に輸出する際、キルギス共和国は1キログラムあたり3.17ドルを得ている一方、ロシアとカザフスタンへの販売では、それぞれ1.49ドルと0.71ドルの収入にとどまりまっている。

 

 キルギス共和国では、小規模農家が断片的に活動している。彼らは資金や情報、教育資源へのアクセスがなく、生産量は限られ、製品の品質も安定していない。さらに、国内の品質管理や製品の安全システムは、中国やロシアの小売りチェーンの基準にしばしば適合していない。このことから、キルギス共和国からの新鮮な果物の輸出業者が中国とロシアの小売市場で競争力を持つためには、輸出量を増やし、品質を向上させ、品目を拡大し、輸出供給の安定性を確保する必要があるといえるだろう。

 政府としては、果物とベリー類の生産と輸出を増やすための環境を整えることで、国内生産者を支援できる。

 このセクターにおける開発の最も深刻な障壁を撤廃するために、小規模地域の果物生産者を価値連鎖に統合し、果物の生産、保存、加工に関する最新の知識と投入物にアクセスしやすくする措置などが支援の例としてあげられる。また、冷蔵庫や収穫後の容量、加工への民間投資の増加、食品安全および品質管理システム、革新への投資を促進することで国内生産者の所得水準はあがるだろう。

 

 

参考文献:

https://www.britannica.com/topic/fruit-farming/Cultivation

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.fao.org/3/cb4173en/cb4173en.pdf

https://sady.kg/

https://vesti.kg/zxc/item/114019-novyj-biznes-realno-li-zarabotat-na-yagodakh.html

https://www.un.org/sustainabledevelopment/sustainable-development-goals/

https://24.kg/biznes_info/156324_kyirgyizskiy_eksport_kak_svejie_fruktyi_mogut_reanimirovat_ekonomikukr/

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://eec.eaeunion.org/comission/department/dep_agroprom/chuvstvit-tovar/%D0%9E%D0%B1%D0%B7%D0%BE%D1%80%20%D0%BF%D0%BB%D0%BE%D0%B4%D0%BE%D0%BE%D0%B2%D0%BE%D1%89%D0%BD%D0%BE%D0%B3%D0%BE%20%D1%81%D0%B5%D0%BA%D1%82%D0%BE%D1%80%D0%B0%20April%202023%20Rus.pdf

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