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キルギスの石炭ビジネス
March 10, 2023
キルギスの石炭ビジネス

 世界的なインフレの進行、ロシアとウクライナの紛争など、世界はこれまで考えられなかったような急激な変化とエネルギーリスクに直面しています。世界経済がCOVID-19の影響から回復し、パンデミック前の安定した水準に向かい始めた頃、戦争によってエネルギー価格が高騰し、需要が増加したため、各国に新たな試練がもたらされたのです。

 しかし、インフレと戦うために経済成長が鈍化する一方で、エネルギー企業は世界のエネルギー危機と経済の見通しから利益を上げ続けることを示しており、投資家や起業家に新しい可能性を開いています。石炭や天然資源に恵まれたキルギスは、今、エネルギー産業にとって魅力的な投資先となりつつあります。

価格高騰と需要拡大

 パンデミックからの世界経済の回復に伴い、エネルギー価格は、供給が制限される一方で、エネルギー会社が燃料の生産を制限したため、需要が急増し、劇的に上昇しました。さらに、ウクライナ戦争で主要国がロシアへの燃料依存に直面した後、企業や政府がロシア以外のエネルギー源を確保するようになり、エネルギー価格はわずか数カ月で最高値に達しました。

 このような背景から、石油や天然ガスの代替となる石炭のようなエネルギー資源の需要が増加しています。2021年、EU諸国は前年比14%増、世界全体では2020年から2021年にかけて6%増と、石炭消費量は増加しています。キルギスでは、すでに石炭価格のピークを迎えています。通常、石炭は冬になると価格が上昇しますが、需要の関係で夏場にはすでに冬場の価格に達しています。

 チュイ地区の住民によると、昨年の夏期の石炭価格は4500ソム程度でしたが、今年はすでに5000ソムに達し、住民は2週間前に石炭を注文しなければならないとのことです。また、カザフスタンからキルギスへの石炭輸出が停止されることも懸念されており、石炭の現地生産の必要性は高まるばかりです。

立地と石炭資源

 ユーラシア経済同盟の一部であるキルギスは、その立地条件から常に恩恵を受けてきました。中国、ロシア、カザフスタンといった巨大経済圏に隣接しているため、キルギス経済は、さまざまな組合や輸出の可能性から生まれる経済的利益を常に利用してきました。

 ここ数カ月でエネルギー需要がピークに達していることから、キルギスは石炭消費量のリーダーである中国に近いという利点を生かすことができます。

 2020年にキルギスが輸出した石炭は、わずか605,9千ドルでした。中国の石炭需要の増加を考慮すると、石炭価格が上昇しても輸送コストは低いままなので、輸出量を簡単に増やすことができます。さらに、ガスや石油を石炭に置き換える国が増えているため、ウズベキスタン、ロシア、タジキスタンなどの近隣諸国も巨大な輸出拠点になる可能性があります。2019年のウズベキスタンの石炭エネルギーは総発電量の3%に過ぎませんが、今後、石炭からのシェアは10%に上昇すると予想されます。

 キルギスの石炭資源は、約70の炭田があり、60億トン以上の石炭を保有しています。そのほとんどが未加工であるため、競争が激しく、魅力的な石炭採掘が可能です。研究者の推計によると、キルギスからの石炭輸出は2025年までに2億7,600万ドルを生み出し、さらに多くの炭鉱が探査されれば、その収益は増加すると見られています。

展望

 エネルギー資源は常に経済にとって重要であり、現在の石炭需要はパンデミックやウクライナ戦争の影響で高止まりしていますが、石炭鉱業の見通しは依然として明るいといえます。石炭消費量トップの中国は、年々着実に石炭消費量を増やしており、EU諸国もキルギスから石炭の輸入を始めています。近隣のEAES諸国では、常に石炭の需要があり、自国の需要を満たすために石炭を輸入しています。つまり、キルギスは新規炭鉱を開設することで、現地のニーズを満たすと同時に、輸出による利益を得ることができると考えられます。

(メーリム)

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