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Toi Art は、首都・ビシュケクの閑静な一角にある陶芸とアートの工房だ。職人たちが丹精込めて様々な陶磁器製品を作り、販売している。この工房は、KRJCのビジネス・コースである「経営塾」の卒業生グルジャン・ナザロヴァさんが経営している。私たちは、経営塾がグルジャンさんのビジネスとその成長にどのような影響を与えたかについてインタビューした。
グルジャンさんがKRJCのビジネス・プログラムに参加することを決めたのは、彼女のビジネスパートナーでもある夫の影響だった。二人とも日本文化に深い関心を持っていた。彼女の夫はKRJCの大江戸太鼓クラブに参加しており、和太鼓を演奏しているときにビジネス・コースのことを知った。彼は 「Mini-MBA」を、グルジャンさんは 「経営塾 」を受講した。
勉強が進むたび、2人は定期的に意見を交換し、学んだことを共有し合った。夫の日本語能力も、2人のネットワークを広げ、貴重な人脈を得るのに役立った。現在、Toi Artは陶器の製造・販売、グラフィック・デザイン、印刷サービスの3本柱で事業を展開している。特筆すべきは、JICAや日本大使館とさまざまなプロジェクトで協力していることだ。
「KRJCのビジネスコースで多くのことを学びましたが、まだすべてを実践できているわけではありません。それでも、できる限り取り入れようとしています」とグルジャンさんは言う。コースを受講して以来、製品の不良品率は15%から3%以下に下がり、かつては安定していなかったセラミックの色合いも、今では鮮やかで均一だ。
設備を中国製から日本製に切り替えたことで、より軽く、より静かで、より効率的になり、製品全体の品質向上に大きく貢献した。
日本とキルギスのビジネス慣行には文化的な違いがあるが、グルジャンさんは、特に、計画を立てて仕事をすることの重要性など、日本の手法が大いに応用できることに気づいた。彼女は「PDSAサイクル」や「5W1H分析」といったツールを使ってビジネスを前進させている。
「新しいことを学ぶたび、それを社内でどう応用するかをすぐに考えます」と彼女は話し、迅速な実行の重要性を強調した。
製品の品質向上に加え、グルジャンさんは顧客サービスの向上にも力を入れている。作業場にカメラを設置してスタッフの行動を確認・分析し、サービス品質の向上と安定した生産性の確保に役立てている。また、重い製品を運ぶ負担を軽減するためのカートなど、より快適な設備を導入することで、従業員の労働環境の改善にも力を入れている。
インタビュー中、グルジャンさんはToi Artの象徴である陶器のマグカップでカプチーノを提供してくれた。大量生産品では味わえない、マグカップの温かみと職人技が一口ごとに伝わってきた。魅力的な陶器とフレンドリーなスタッフは、居心地のいい店内の雰囲気を作り出している。私はキルギスのペトログリフが描かれたカップとソーサーのセットを購入した。
Toi Artの成長は、KRJCのビジネス・コースが与えた影響の証だ。新しい技術を学び、応用しようとするグルジャンさんの献身は、Toi Artに大きな変化をもたらし、その継続的な成功を確かなものにしている。
JICAインターン 仲宗根佳南